「SMASH」の振付家
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
ジョシュア・パーガッセ氏の素顔
今回の取材を通じて、BDCの日本語通訳スタッフ、朝倉千鶴さんという素敵な女性にも出会うことができました!
朝倉さんは、自らもダンサーとしてニューヨークでご活躍されているんです。 彼女は実際に、「SMASH」の中で振付を担当しているジョシュアのクラスを受けたというご経験もあるそうで!早速、彼の素顔を色々と伺ってきました。
―ジョシュアはどんな先生ですか?
「凄く優しくて、どんな生徒に対しても同じように接し、とても丁寧に教えてくれる先生。クラスのムードも、いつも賑やかで明るい。その温度を保っていられるのは凄いことだと思います。」
―ジョシュアのクラスを受けることになったきっかけは?
「実は、私が受けようと思っていたクラスの先生がお休みの日に、代理の先生としていらしたのがジョシュアだったんです。一度教えて頂いたら、とても良かったので、それからは、彼が教えているクラスを選びました。」
―彼は、どんなフォームのダンスを教えてくれる先生ですか?
「得意分野は、「雨に唄えば」のジーン・ケリーや、フレッド・アステアのようなクラシカルなダンス。クラスでもそういうフォームを丁寧に教えてくれます。」
―「SMASH」の中での彼の振り付けをどう思います?
「あれだけ異なったタイプのダンスシーンを早いスパンで振付けなくてはいけないプレッシャーって計り知れないものだと思うんですね。それを色々な分野のスタイルを取り入れ、どのシーンも見事に作り上げている。どれだけたくさんのアイデアの引き出しを持っていらっしゃるんだろう?!と、ドラマを観ては感動しています。」
―「SMASH」の中で、お好きなダンスシーンは?
「The 20 Century Fox Mambo」
「A Thousand And One Nights」
「Don't forget me」
流石はダンサー!!この3つのシーンをさらりと挙げてくださいました。
「SMASH」を観る時には、やはり、いつもダンスシーンを気にかけて観ているそう。こうやってシーンを並べると、ジョシュアの多才ぶりに改めて脱帽ですよね!
NYでダンスを学ぼう!!
続けて朝倉さんに、ニューヨークに留学してダンスのレッスンを受けたいと思っていらっしゃる方へ、留学生の受け入れ方を伺いました。
「アメリカでは3ヶ月以上の長期在住する場合には、ビザが必要です。この学校は、専門学校ビザである M1ビザを留学生に発行しています。専門学校ですので、最短で留学は、3ヶ月、次に長いのが6ヶ月、そして1年、最高2年まで留学は延ばせます。」
詳しくは、朝倉さんが日本からの留学生に向けて、日本語で作成してくださったHPをチェックしてくださいね。
(実際に授業を受ける時は、事前にスケジュールを確認しましょう!)
ニューヨークで夢をかなえるということ
朝倉さんは、ニューヨーク在住13年目。ニューヨークに住む前は、日本のテーマパークなどのエンターテインメントのショーで、ダンサーとしてご活躍されていました。
エンターテインメント界を目指す人達にとって、聖地ニューヨークで、トップレベルの先生からレッスンを受けたいと思うのはごく自然のこと。朝倉さんも在住を決める前に、観光でニューヨークを訪れた際に受けたこのダンススタジオの授業で衝撃を受けた一人でした。「その時受けたクラスのダンスのスタイルが忘れられなくて、でも、留学資金を用意していたわけではないので、どうしたら留学できるのかとそればかり考えていた日々。そんなある日、私、人身事故に合ったんです!」と、突然衝撃的な発言 が!恐る恐るお話の続きを聞いてみたら、「その交通事故で、予定外に高額な保険金が入ったんですよ!それで、その保険金を見た時に「これは留学に行けって事?」て思ったんです! 」
・・・そうです。お察しの通り、保険金は、朝倉さんの留学資金に変わったのでした。「人生、何がきっかけになるかわからない」
そう何度も繰り返す朝倉さん。「普通は、事故にあった時はマイナス思考じゃないですか?それをポジティブに「やった!これでニューヨークに行ける!って思っちゃったんですね、私。」と。
そして行動に移した朝倉さん。実際に暮らしてみたニューヨーク。 朝倉さんに、ここニューヨークでダンスをすること、そして、夢について伺いました。
「ニューヨークという都市も、エンターテインメントの世界も、常に常に挑戦じゃないですか? オーディションだって、受けては落ち、受けてはまた落ちを繰り返すのが当たり前。 落ちてばかりいると人格まで否定されているような錯覚になり、精神的にも厳しい日が続くこともある。それでも、夢をかなえている人がいるのだから、と元気を取り戻しての繰り返し。ニューヨークで挑みたい理由は、自分に限界を作りたくないという思いがあるから。」
「ただ、最近ジレンマを感じるのは、エンターテインメントの世界は、"自分を見て欲しい、自分が前に出なきゃ"という思いを全面に出さないといけない世界であること。」・・・それが、最近とても気になりはじめたと、朝倉さんは気持ちを打ち開けてくれました。
「それでね、その視点に少し距離を置いて、違う角度か ら色々な物事を見たい、そして、"自分が"ではなく、 人のために何かをやりたい。人のために出来ることはどんなことなのか?と思い始め、今、身体に障がいを持ち、身体的なサポートが必要な方達へのボランティア活動を始めたんです」
と、話してくれました。
そんな朝倉さんの行動力と思考の切り替え方が、 私は本当に素晴らしいと思いました。
ダンスとはまた異なった世界を覗くことで、その世界から広がる人への理解や気持ちの変化が、これから先、朝倉さんが踊るダンスや表現の広がりに必ず繋がっていくことでしょう!
1つのダンススタジオという建物の中で出会った、同じ目的を持ったたくさんの人達。 国籍も、育った環境も、思考も異なった様々なバックグラウンドを持った人達がひしめき合って暮らしているニューヨーク。ブロードウェイの劇場に近いこの場所で、今日も日夜、華やかなスポットライトの下に立てることを夢見て、世界中から集まったたくさんの人達が夢を追いかけています。ブロードウェイは、毒薬的な魅力を放つ魅惑的な世界なのですね!!!
"人生、何がきっかけになるかわからない" そんな朝倉さんの言葉を何度も心で繰り返しながら、夢と汗の熱気で蒸し返す、心地よいエネルギーが溢れるダンススタジオを後にしました。BDCの建物のドアを開け、街に出て目にしたマンハッタンの空に、「私も、この街で頑張ろう」と、つぶやいて、大きく深呼吸をした私です。
ブロードウエイ・ダンス・センター!! 皆さんもニューヨークにいらしたら是非、この熱気を体験しに、スタジオを覗いてみてくださいね♫
〈ブロードウェイ・ダンス・センター〉
所在地:
322 W 45th St #3 New York, NY 10036
(212) 582-9304
email : info@bwydance.com
「SMASH」の振付家
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
「SMASH」ファンの皆様、こんにちは!
第1回目に続き、このコラムでは「SMASH」の世界・・・そう!ショービズの裏側をあらゆる角度から覗き、ミュージカルの本場ニューヨークから生の声のレポートをお届いたします!
「SMASH」の最大の魅力・・・それは何と言っても、TVドラマでありながら舞台さながらに"歌のナンバー"や"ダンスシーン"がたっぷりと楽しめること。ミュージカルの雰囲気をそのままドラマで体験できることですよね~♬
そこで、第2回目のコラムでは、ミュージカルになくてはならない"ダンスシーン"にフォーカス、「SMASH」の振付家として活躍されているジョシュア・バーガッセ氏自らがコーチとして参加しているダンススタジオ「BROADWAY DANCE CENTER」を訪ね、クラスの様子をレポートしてきました! ここでは、ニューヨークのエンターテインメントシーンを彩る数多くの俳優たちも授業を受けています。ブロードウェイの劇場街にあるスタジオの内側を一緒に覗いてみましょう~♬
「BROADWAY DANCE CENTER」
未来のブロードウェイを担うダンサー達が通うダンススタジオ
劇場街の中心にあるダンススタジオ、その名も『BROADWAY DANCE CENTER』(略して"BDC")!恵まれたロケーションで、世界中から集まった多くのダンサーや俳優たちがレッスンを受けています。「SMASH」を目を凝らして観ていらっしゃる方には、このロゴやスタジオ内の光景に見覚えがあるかもしれません。そうです。ここでは、何度も「SMASH」の撮影が行われているんですよ!BDCのスケジュールは、何と早朝から深夜まで。月曜日から日曜日まで、休みなくびっしりと授業が組まれていて、モダンダンス、クラ シックバレエ、タップダンス、ヒップホップ、ストリートダンス等、あらゆるジャンルのダンス レッスンが受けられのです!魅力的ですよね。また、BDCという名に相応しくシアターと呼ばれるクラスもあり、ミュージカルや舞台で行われている踊りのフォームなどを集中して教えてもらえます。
どのクラスもチケット制で受講できるので、当日無料で会員登録しチケットを購入するだけで、旅行者でもクラスを受けられるという素晴らしいシステム。早速、様々なスタイルのダンスのクラスを、スタジオスタッフのエイプリルさんにご案内して頂きました!
私達が取材に行った日のシアターのクラスは、ダイアナ・ローレンソンというフォッシースタイルを教えることで有名な先生が担当していました。特別にお願いして撮影の許可を頂くことができましたので、早速、中の様子を覗いてみましょう♬
明日へのブロードウエイの舞台を目指して!シアターのクラスは熱気でムンムン
シアターのクラスが行われているスタジオのドアを開けると、中はダンサー達の汗と熱気でムンムン!ブロードウェイ・ミュージカル界伝説の振付家ボブ・フォッシーの、確立したフォーム"フォッシースタイル"を教えているこのクラス。フォッシーが振付したミュージカル「シカゴ」(米倉涼子さんがブロードウェイデビューした演目としても有名になりましたよね)、「スイートチャリティ」、「くたばれヤンキーズ」、「キャバレー」などは、今もなお世代を超えて人気のある作品ばかり。先生ご自身も、28年間パフォーマーとして舞台に立ち、フォッシー作品にも出演されているという大ベテランです。
フォッシースタイルの特色は、頭や手首をがくんと落とし、内股になって肩をすくめたり、脱力したままつま先立ちで歩いたりと、手や足の指のつま先から、身体の 細部の細かい動きまでを使って表現するそれまでのダンスにはない独特のスタイル。彼のスタイルは、こうして大切に受け継がれているのです。
クラスの参加者全員で彼のフォームを踊ると、ここがクラスとは思えないほどの迫力!常に、見せること、そして、見られることを意識し、表情までもが舞台本番さながらの出来栄え。例えクラスといえども、オーディションというワンチャンスに、いつでも挑めるような姿勢でレッスンを受けている彼らに、ただただ感動しました。「スイートチャリティ」の中 からのナンバー「There's gotta be something better than this」が鳴り響くクラスを後にしながら、このような育成プログラムの環境から、オーディションを経て、将来のブロードウェイを担うスターが生まれるんだなあと、改めて納得。しかし、「SMASH」のカレンのように、オーディションで大抜擢され最終選考に残っても、アイヴィーとのバトルのように、最終的に主演として残れるかは最後の最後まで判らない世界。まさに「SMASH」の世界を垣間見たようなクラスでした。
ストリートジャズは、ニューヨークの音と香り
続いてお邪魔したのは、お隣のスタジオで行われていたストリートジャズのクラス。
最高にテンションが高く楽しい講師Q(キュー)氏がリードし、ビートの効いた音楽に乗って、ジャズとファンクと、ストリートダンス、そして、ブレイクダンスがミックスされたような激しい踊りを踊る受講者達。クラスを見ていると、本当にハッピーになり、ついつい身体がノリノリになってしまいます♬
このようなスタイルのダンスも、今のブロードウェイではたくさん取り入れられています。彼のクラスには、キャステングコール(オーディ ション)を受けブロードウェイを目指す生徒さん 達がたくさんいるそうです。
休憩なしの熱い1時間半の授業を終えて、クラスから出てこられたQ先生に、突撃インタビュー! オーディション・システムと いう厳しい現実に立ち向かって、日々頑張って いるたくさんの人達へ、オーディションの受け方のアドバイスを、と質問させて頂きました。
「オーディションでは、主催(プ ロダクション)側が求めていることに常に柔軟に対応する姿勢を持つこと。例えば、カンガルーになりなさいという指示がプロダクション側から課題として出た時に、カンガルーの真似なんてそんな馬鹿なことは出来ないと躊躇してしまったら、オーディション会場で本当に馬鹿なのは、隣で髪の毛を振り乱し、カンガルーのようになって飛び跳ねている他の人達ではなく、カンガルーの真似なんて馬鹿みたいなこと出来るもんか!と、真似をやらないでいる自分のほう。非日常のショービジネスの世界に居るということを意識し、常に心を柔軟に持つこと!求められていることをすぐに実践できる姿勢でいること」
とても深い、的確なアドバイスをお話ししてくれました。
〈ブロードウェイ・ダンス・センター〉
所在地: 322 W 45th St #3 New York, NY 10036 (212) 582-9304
email : info@bwydance.com