コラム from NY【第2回〈前編〉】
企画・文:篠崎はるく 写真:Michel Delsol
2013年4月 4日
「SMASH」の振付家
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
ジョシュア・バーガッセ氏も教えるダンス・スタジオ
「SMASH」ファンの皆様、こんにちは!
第1回目に続き、このコラムでは「SMASH」の世界・・・そう!ショービズの裏側をあらゆる角度から覗き、ミュージカルの本場ニューヨークから生の声のレポートをお届いたします!
「SMASH」の最大の魅力・・・それは何と言っても、TVドラマでありながら舞台さながらに"歌のナンバー"や"ダンスシーン"がたっぷりと楽しめること。ミュージカルの雰囲気をそのままドラマで体験できることですよね~♬
そこで、第2回目のコラムでは、ミュージカルになくてはならない"ダンスシーン"にフォーカス、「SMASH」の振付家として活躍されているジョシュア・バーガッセ氏自らがコーチとして参加しているダンススタジオ「BROADWAY DANCE CENTER」を訪ね、クラスの様子をレポートしてきました! ここでは、ニューヨークのエンターテインメントシーンを彩る数多くの俳優たちも授業を受けています。ブロードウェイの劇場街にあるスタジオの内側を一緒に覗いてみましょう~♬
「BROADWAY DANCE CENTER」
未来のブロードウェイを担うダンサー達が通うダンススタジオ
劇場街の中心にあるダンススタジオ、その名も『BROADWAY DANCE CENTER』(略して"BDC")!恵まれたロケーションで、世界中から集まった多くのダンサーや俳優たちがレッスンを受けています。「SMASH」を目を凝らして観ていらっしゃる方には、このロゴやスタジオ内の光景に見覚えがあるかもしれません。そうです。ここでは、何度も「SMASH」の撮影が行われているんですよ!BDCのスケジュールは、何と早朝から深夜まで。月曜日から日曜日まで、休みなくびっしりと授業が組まれていて、モダンダンス、クラ シックバレエ、タップダンス、ヒップホップ、ストリートダンス等、あらゆるジャンルのダンス レッスンが受けられのです!魅力的ですよね。また、BDCという名に相応しくシアターと呼ばれるクラスもあり、ミュージカルや舞台で行われている踊りのフォームなどを集中して教えてもらえます。
どのクラスもチケット制で受講できるので、当日無料で会員登録しチケットを購入するだけで、旅行者でもクラスを受けられるという素晴らしいシステム。早速、様々なスタイルのダンスのクラスを、スタジオスタッフのエイプリルさんにご案内して頂きました!
私達が取材に行った日のシアターのクラスは、ダイアナ・ローレンソンというフォッシースタイルを教えることで有名な先生が担当していました。特別にお願いして撮影の許可を頂くことができましたので、早速、中の様子を覗いてみましょう♬
明日へのブロードウエイの舞台を目指して!シアターのクラスは熱気でムンムン
シアターのクラスが行われているスタジオのドアを開けると、中はダンサー達の汗と熱気でムンムン!ブロードウェイ・ミュージカル界伝説の振付家ボブ・フォッシーの、確立したフォーム"フォッシースタイル"を教えているこのクラス。フォッシーが振付したミュージカル「シカゴ」(米倉涼子さんがブロードウェイデビューした演目としても有名になりましたよね)、「スイートチャリティ」、「くたばれヤンキーズ」、「キャバレー」などは、今もなお世代を超えて人気のある作品ばかり。先生ご自身も、28年間パフォーマーとして舞台に立ち、フォッシー作品にも出演されているという大ベテランです。
フォッシースタイルの特色は、頭や手首をがくんと落とし、内股になって肩をすくめたり、脱力したままつま先立ちで歩いたりと、手や足の指のつま先から、身体の 細部の細かい動きまでを使って表現するそれまでのダンスにはない独特のスタイル。彼のスタイルは、こうして大切に受け継がれているのです。
クラスの参加者全員で彼のフォームを踊ると、ここがクラスとは思えないほどの迫力!常に、見せること、そして、見られることを意識し、表情までもが舞台本番さながらの出来栄え。例えクラスといえども、オーディションというワンチャンスに、いつでも挑めるような姿勢でレッスンを受けている彼らに、ただただ感動しました。「スイートチャリティ」の中 からのナンバー「There's gotta be something better than this」が鳴り響くクラスを後にしながら、このような育成プログラムの環境から、オーディションを経て、将来のブロードウェイを担うスターが生まれるんだなあと、改めて納得。しかし、「SMASH」のカレンのように、オーディションで大抜擢され最終選考に残っても、アイヴィーとのバトルのように、最終的に主演として残れるかは最後の最後まで判らない世界。まさに「SMASH」の世界を垣間見たようなクラスでした。
ストリートジャズは、ニューヨークの音と香り
続いてお邪魔したのは、お隣のスタジオで行われていたストリートジャズのクラス。
最高にテンションが高く楽しい講師Q(キュー)氏がリードし、ビートの効いた音楽に乗って、ジャズとファンクと、ストリートダンス、そして、ブレイクダンスがミックスされたような激しい踊りを踊る受講者達。クラスを見ていると、本当にハッピーになり、ついつい身体がノリノリになってしまいます♬
このようなスタイルのダンスも、今のブロードウェイではたくさん取り入れられています。彼のクラスには、キャステングコール(オーディ ション)を受けブロードウェイを目指す生徒さん 達がたくさんいるそうです。
休憩なしの熱い1時間半の授業を終えて、クラスから出てこられたQ先生に、突撃インタビュー! オーディション・システムと いう厳しい現実に立ち向かって、日々頑張って いるたくさんの人達へ、オーディションの受け方のアドバイスを、と質問させて頂きました。
「オーディションでは、主催(プ ロダクション)側が求めていることに常に柔軟に対応する姿勢を持つこと。例えば、カンガルーになりなさいという指示がプロダクション側から課題として出た時に、カンガルーの真似なんてそんな馬鹿なことは出来ないと躊躇してしまったら、オーディション会場で本当に馬鹿なのは、隣で髪の毛を振り乱し、カンガルーのようになって飛び跳ねている他の人達ではなく、カンガルーの真似なんて馬鹿みたいなこと出来るもんか!と、真似をやらないでいる自分のほう。非日常のショービジネスの世界に居るということを意識し、常に心を柔軟に持つこと!求められていることをすぐに実践できる姿勢でいること」
とても深い、的確なアドバイスをお話ししてくれました。
〈ブロードウェイ・ダンス・センター〉
所在地: 322 W 45th St #3 New York, NY 10036 (212) 582-9304
email : info@bwydance.com