マリリン・モンローの人生を題材にしたミュージカル「ボムシェル」のボストン・プレビュー公演は大成功を収め、急遽アイヴィーに代わって主演として舞台に立ったカレンも絶賛される。いよいよブロードウェイでの上演を目指してプロデューサーのアイリーンや演出家デレクたちは準備を進めるが、重大な問題が持ち上がる。その頃、初日のレビューで脚本が酷評されたジュリアは、すっかり意気消沈していた。またカレンとの関係悪化に加えて、主役の座も追われたアイヴィーは…。
バーで偶然聴いたジミーの楽曲が忘れられないカレンは、曲の売り込みを交渉するが軽くあしらわれる。デレクに見込みなしと連絡するが、ジミーの友人カイルに説得されて再度会うことに。デレクは女優たちにセクハラで訴えられ、ジュリアは心が折れたまま相棒の作曲家トムの家に引きこもる日々。アイヴィーは再びオーディションを受ける身となり女優引退を考える。そんな中、アイリーンは「ボムシェル」のブロードウェイ上演を実現させるべく、舞台関係者が集うパーティーへ乗り込むことに。
ジミーとカイルが作っているミュージカルを世に出そうと、デレクの説得を続けるカレン。ゴシップのせいでミュージカル「ウィズ」の演出を降ろされ結果を出す必要があるデレクは、「ウィズ」の主演スター、ヴェロニカの助けを借りて実力を証明しようとする。アイリーンは脚色家ピーターを起用し「ボムシェル」のテコ入れを図るが、ジュリアは真っ向からピーターと対立。一方、アイヴィーはミュージカル「危険な関係」のセシル役のオーディションを受けるチャンスをつかむ。
イメージチェンジを図りたいヴェロニカは、一夜限りのライブの演出をデレクに頼む。音楽監督のトムと共に曲構成を考えるが、ピンと来ていないデレクを見てカレンはジミーとカイルを呼び、トムに彼らの曲を聴かせるが全曲却下されてしまう。ジミーは怒って立ち去るが、カイルはトムに勢いで新曲を作ると宣言。だが、アイデアが出ず曲作りに苦戦するジミーをカレンは励ます。ようやく曲が完成しデレクのもとへ向かうが、無礼な態度をとるデレクに切れたジミーは姿をくらます。
「ボムシェル」の上演実現のために、アイリーンは身を引き元夫ジェリーが新しいプロデューサーとして参加することになる。ジュリアとピーターは信頼関係を築き新しい脚本を完成させるが、トムは不信感を拭えない。ジミーはカレンと惹かれあうものの、カレンがデレクと付き合っていると思い込んでいた。そんな中、ジミーとカイルの作品「ヒット・リスト」が世に出るチャンスを得る。一方、アイヴィーが出る「危険な関係」の稽古に主演スター、テリーが遅れて参加するが…。
ジュリアとデレクが推す新しい脚本が却下され、トムとジェリーが推す旧バージョンの脚本が採用されることに。さらにジェリーがクリエイティブな面に口出しすることから、「ボムシェル」のチームに不協和音が生じ始める。一方、ジミーらが手掛ける「ヒット・リスト」がオフ・ブロードウェイ(小劇場)で2日間公演することになり、カレンは主演として稽古に励んでいた。だが、本番直前にジェリーに「ボムシェル」以外の作品に出ることはできないと止められてしまう。
デレクが降板し、トムを新たな演出家として再出発した「ボムシェル」。デレクの演出が染み込んでいるカレンとトムは食い違い、お互いにストレスを感じる。一方、「ヒット・リスト」の演出を手掛けるデレクは小劇場からのスタートに抗議し、大劇場での上演を主張。そのためには作品を修正しなければならず、ジミーは猛反発する。トムはカレンとの関係改善を、デレクはジミーに歩み寄ろうと、アイヴィーが出演する「危険な関係」の初演に連れ立って出かけるが…。
「ボムシェル」の実権を取り戻したアイリーン。カレンが降板したためマリリン役にはアイヴィーが戻ってくる。デレクのワンマンなやり方とは反対に、キャストの意見を尊重しようとするトム。ジュリアは一線を引くべきだと諭すが、トムは耳を貸さない。デレクのセクハラ問題などで広報活動に苦戦するアイリーンは、古い友人の編集者に稽古場の取材を頼み込む。一方、かつての友人で「ヒット・リスト」を後押しするスコットと偶然再会したジュリアは、苦い過去を思い出す。
「もし私が男だったら、彼女の言うことに耳を傾けるだろう。傷つく気持ちが分かるから」と、切実な想いを込めてアナが熱唱する。ビヨンセは、08年発売3rdアルバム収録の同曲を日本の音楽番組「ミュージックステーション」で披露。ライブパフォーマンスで歌うのは、これが世界初となった。
「ヒット・リスト」への出演を選んだカレンは、ジミーと初めての一夜を共にする。翌朝、カレンの父ロジャーが訪ねてきてジミーは窓から立ち去る。ジミーはカレンとの恋に幸せを感じるが、通りでアダムという男性を見かけて凍りつくのだった。一方、「ボムシェル」ではマリリンの母親役に、アイヴィーの実の母親でミュージカルスターのリー・コンロイの名が浮上。母親に複雑な感情を抱くアイヴィーは難色を示すが、話題性が欲しいと言われ受け入れることにする。
テクニカル・リハーサルに入った「ボムシェル」だが、トムとアイヴィー、出演者たちとの関係は改善されない。そこでトムはアイヴィーの誕生日に彼女が憧れる大女優、ライザ・ミネリを呼ぶサプライズを計画する。その頃、新聞には2人の確執が書き立てられてアイリーンは舞台のイメージダウンに悩む。「ヒット・リスト」では脚本の修正が必要となり、プロデューサーのスコットはジュリアに参加を求める。カレンは2人の仲を周囲には秘密にしようとするジミーに不安を覚え始める。
「ボムシェル」はプレビュー公演初日を迎えるが、アクシデントが続出。アイリーンは夜の公演は中止すべきだと助言するが、トムは頑なに拒否する。最後の全体リハーサルが続く舞台ではアイヴィーがヌードになるハプニングも起こるが、ジュリアは演出に組み込むべきだと主張。トムはアイヴィーの意見を尊重すると言う。同じ頃、構成を見直した「ヒット・リスト」ではカレンのナンバーが減ってディーバ役アナが目立つことになり、通し稽古を控えてカンパニーに不協和音が生じる。
プレビューを終えて、いよいよ公演初日を翌日に控えた「ボムシェル」。アイリーンと広報担当アグネスは、初日のレビュー次第で今後の宣伝戦略も変わってくるので根回しに余念がない。アイヴィーは周囲の評価を気にしないようにするが緊張は高まるばかり。トムは初の演出家としての評価が気になる一方、ジュリアは次の企画を考えていた。その頃、ニューヨーク・タイムズで「ボムシェル」との比較記事が出たことにより、にわかに「ヒット・リスト」が注目を集めていた。
「ボムシェル」の初日のレビューは概ね良かったものの、今一つチケットの売れ行きが伸びないため、アイヴィーは広報活動のため連日取材やPRに奔走していた。一方、オフ・ブロードウェイでの初日以来、「ヒット・リスト」は全公演完売の大ヒット。ブロードウェイ行きを狙うデレクとスコットは、ある夜の公演に主要プロデューサーたちを招待する。だが、カレンとの関係が上手く行かず、傷ついたジミーの素行の悪さにデレクたちが抱いていた不安が的中してしまう。
ジェフ・バックリィは、類まれな美声とギター・テクニックにより将来を期待されていたアーティストだったが、1997年、30歳の時に水泳中の事故で早すぎる死を遂げた。「SMASH」では、カイルが身を削るように歌いながらニューヨークの夜を徘徊する。切なくも激しい歌詞が胸に突き刺さる。
それぞれが問題を抱える中、カレンはデレクと飲み明かして一晩を過ごし、カイルはジミーとの決別を決意し荷物を届けるためジミーの兄アダムの家を訪ねる。その帰り道、カイルは交通事故に遭う。翌朝、反省したジミーがカレンの部屋を訪ねるが、デレクの姿を見てまたどこかに消えてしまう。一方、昨夜会うはずだったカイルから連絡がないトムに警察から電話が入る。「ヒット・リスト」のメンバーにも悲しみと動揺が広がり、その日の公演は中止になるはずだったが…。
トムがカイルに捧げた曲。あふれる野心に急き立てられるように進む若者たちに、「そんなに生き急ぐと、大事なことを忘れてしまうよ」と呼びかけるこの曲は、1977年に発売されたビリー・ジョエルの大ヒットアルバム「ストレンジャー」の、B面1曲目として収録された。
ジェリーの後ろ盾を得て「ヒット・リスト」のブロードウェイ進出が決まり、親友の遺志を継ごうと頑張るジミーにジュリアも協力を惜しまない。だが、演劇界の一大イベント、トニー賞を意識するアイリーンはトムの演出でライブを開き、トムとジュリアにデュエットさせて仲の良さもアピールし、「ボムシェル」を盛り上げようと画策する。一方でアイヴィーは過去の失態を暴かれゴシップに悩んでいた。テコ入れを図る「ヒット・リスト」では、代役女優をめぐる問題が浮上する。
トニー賞に絡む大事な時期に、デレクの子供を身ごもったことが判明したアイヴィー。一人で悶々と悩む中、前哨戦となる賞では「ボムシェル」を制して圧勝だった「ヒット・リスト」は追い風を受ける。両陣営の関係者によるマスコミを介した舌戦も加速していく中、トニー賞のノミネート発表が迫ってくる。その頃、デレクと肉体関係を結ぶ代わりにディーバ役を約束されたデイジーに役を奪われたアナが、不当解雇でプロダクションを訴えると言ってきたことからデレクは窮地に陥る。
「ボムシェル」は12部門、「ヒット・リスト」は13部門でノミネートされたトニー賞の授賞式当日。離婚条件でもめるジュリア、深刻な悩みを打ち明けられないアイヴィー、スキャンダルを自ら暴露して引きこもるデレク。ジミーは当日のパフォーマンスをドタキャンし、デイジーが我が物顔でリハーサルを仕切る稽古場にカレンは頭が痛かった。カレンはジミーを説得し、アイヴィーはデレクを励まし、トムとジュリア、アイリーンら関係者一同は華やかな授賞式の会場へと向かうのだった。
「女優と寝るのは、彼女たちがオレのことを好きだからさ」と開き直る演出家デレクが、妄想の中で聴く歌。女の本心を知るのを怖がっているデレクの心情が、可笑しい程伝わる。ヴォーカルのアニー・レノックスと、「SMASH」でこの曲を歌うカレン&アイヴィーたちの衣装を見比べてみよう。