海外取材レポート後編

 マンハッタンに実際に存在する飲食店や建物などをロケ現場にしているドラマ「SMASH」。NYでの取材コースには含まれていなかったものの、多くのロケ現場はファンの誰もが足を運べるので、空き時間を使っていくつか回ってみた。するとわかるのは、ブロードウェイに生きる人々が、それらをリアルに使っていること。しかもほとんどがミュージカルに携わる人達の定番人気スポットとして知られているのだ。「SMASH」を好きでNYに行く機会がある人は是非とも一度みてもらいたい。

 さて、ロングアイランドのスタジオから移動すること20分ほど、次に我々メディアが案内されたのはブルックリンにあるスタジオ。シーズン2の撮影中で、キャストが全員集合しているという。ここはロングアイランドのスタジオよりも広く、衣装部やミュージカルシーンを撮影できるステージセット、リハーサルスタジオ、アイヴィーのアパートメントやジミーとカイルの部屋、カイルの店“Table46”のセットなどが。じつは外見はそれほど大きく見えないのも特徴で、それは“ぱっと見で「SMASH」のスタジオとわかるのを避けるため”。入口こそ小さいのだが、中は迷路のように入り組んで、さまざまなセットが組まれている。特に配慮されているのは、エキストラダンサーが登場する群舞シーンの撮影だそうで、ダンサー数十人が同時に踊ることができ、かつ観客役のエキストラも入ることができるよう、こちらのスタジオは作られているそうだ。

 このスタジオではキャストにも話を聞くことができた。もっとも驚かされたのはメーガン。このドラマの信憑性を尋ねたところ「やっぱりその質問か……。よく聞かれるんだけど、このドラマはブロードウェイミュージカルの裏側にかなり忠実。それどころか実際はもっとすごいと思うわよ」とのコメント。ショービズの中心にいるキャストからそのようなコメントが出るほど、このドラマは真実に満ちているということだ。さすがはスピルバーグ渾身の企画。

 このメディア取材の最後に見学できたのは、シーズン2のあるシーンのリハーサルだった。原寸のステージセットで、数十名のダンサーが群舞の練習をしており、我々に通し稽古を見せてくれるという。振り付けを担当したエミー賞ホルダー、ジョシュア・バーガッセほか、群舞撮影を支えるスタッフも全員集合。ほんの数分のシーン撮影とはいえ、さまざまに入り乱れるダンサーと可動セット、そして本物の舞台よりも豪華な照明は、まるで本物の舞台を観ているような迫力だ。圧巻のこのシーンはシーズン2の前半戦で観られるという。